東京・駿河台に佇む山の上ホテルをご存じでしょうか?
かつて文豪に愛されたクラシカルなホテルです。
直線的なアールデコ調の建築様式、設計はメレル・ヴォーリズ氏です。
しかし、衝撃のニュースが…。
竣工86年目を迎える来年(2024年)、2月より、建物老朽化のため全面休館に入るそうです。
休館の期間は『当面の間』と発表があったので、具体的な再開の時期は分かっていません。
休業前、リニューアル前にぜひ行かれてみてはいかがでしょうか。
今回は東京の山の上ホテルの歴史と魅力をたっぷりとお伝えします。
山の上ホテルの詳細とアクセス・駐車場
この建物は戦前、日本生活協会の管理のもと西洋の生活様式啓蒙の施設として使用されていましたが、戦時中は帝国陸軍に、戦後まもなくはGHQの陸軍婦人部隊宿舎として使用されました。
その後、1954(昭和29)年に山の上ホテルとして開業。
都会に佇む静かなホテルとして幾多の文化人に愛されてきました。
山の上ホテルの概要
住所 | 東京都千代田区神田駿河台1ー1 |
---|---|
電話 | 03-3293-2311 |
客室数 | 35室 |
駐車場 | あり40台(1,500円) |
開業 | 昭和29年1月 |
チェックイン | 14:00 |
チェックアウト | 12:00 |
支払い | 現金・クレジットカード |
wi-fi | 使える |
公式HP | 山の上ホテル公式 |
山の上ホテルの動画
山の上ホテルのアクセス・駐車場
公共機関
・JR御茶ノ水駅・御茶ノ水橋口から徒歩5分
・東京メトロ 御茶ノ水駅②出口から徒歩7分
明大通り
では一番行きやすいJR御茶ノ水駅・御茶ノ水橋口から向かってみます。
明大通りをそのまま南下していくと、『山の上ホテル』の看板があるので、それを右に曲がります。
右折して直進
看板のある角を右折したら、そのまま真っ直ぐ坂道を上ります。
すると正面にホテルが見えてきます。
駐車場
駐車場は表面むかって左手にあります。
スタッフの方が誘導してくれますよ~。
文豪が愛した山の上ホテル
山の上ホテルはかつては別館もありましたが、現在は取り壊されて隣の明治大学の敷地になっています。
本館も2019年にリニューアル。
新しくなったというよりか、むしろ開業当時の雰囲気を復刻してよりクラシカルなホテルになっています。
この建物を見てピンと来たアナタは偉い!!
そうです、ヴォーリズ建築ですね。
人気作家のカンヅメホテル
文豪に愛された…といえばカッコいいのですが、実は人気作家たちが執筆のために、部屋にこもっていたの言うのが正解です。
都会の中にもかかわらず、閑静で落ち着くこのホテル。
執筆には持ってこいだったのでしょう。
川端康成(かわばた やすなり)
『文藝時代』を創刊しています。
代表作は『伊豆の踊子』、『雪国』、『眠れる美女』、『古都』などです。
昭和43年、ノーベル文学賞を受賞しています。
池波正太郎(いけなみ しょうたろう)
人気小説家です。
何といっても『鬼平犯科帳(おにへいはんかちょう)』と『真田太平記(さなだたいへいき)』ですね。
2つともテレビドラマにみなっています。
真田氏を扱った作品が多く、『錯乱』で直木賞も受賞しています。
直木賞(なおきしょう)
正式名称・直木三十五賞(なおきさんじゅうごしょう)。
芥川賞が文章や表現の美しさを評価するのに対し、直木賞は娯楽性を重視し、読者を楽しませる作品が評価されます。
松本清張(まつもと せいちょう)
日本の小説界に社会派推理小説ブームを巻き起こしました。
『砂の器』、『点と線』、『張込み』などは過去何度も映画化やドラマ化されています。
ちなみに『点と線』の舞台は夜行列車『あさかぜ』でしたね~。
編集者を待たせたロビー
山の上ホテル周辺は出版社が多く、ホテルのロビーには編集者が待ちくたびれていたそうです。
「先生~、作品まだっスか~~?」…なんて声が聞こえてきそうですね(笑)。
山の上ホテルの館内
山の上ホテルのエントランス・ロビー
それでは館内に入ってみます。
ロビーは以前は全部真っ赤な絨毯でしたが、リニューアルされてロビーは黄色の絨毯、フロントとエレベーター周辺はお洒落なモザイクタイルの床になってます。
開業当時の意匠が復刻されています。
チェックイン
チェックインはコチラで行います。
なんか特別な契約を交わしているようで緊張しました(笑)。
朝食を申し込んでいる方は、ここで和食か洋食か聞かれるので、好きな方を選択します。
ホテルショップ ヒルトップ
1Fロビーのショップ・ヒルトップではケーキやお菓子も販売しています。
ちなみに、この『ヒルトップ』(hilltop)という名称、戦後まもなくの陸軍婦人部隊宿舎時代にこの建物の愛称が『ヒルトップ』だったのです。(丘の上にあるから)
そしてホテル開業時に丘の上ホテルではなく、あえて山の上ホテルの名称にしたようです。
このホテルのいたる場所や備品に『Hilltop Hotel』の表記があります。
「山の上じゃなくて、丘の上やんけ~~!」などとツッコんだのも筆者だけではないでしょう~(笑)。
ちなみにロビーのシャンデリアと古時計は壮大でした。
山の上ホテルの螺旋(らせん)階段
山の上ホテルの特徴のひとつに、格式の高い螺旋(らせん)階段が挙げられます。
赤い絨毯と金色で手すりと大理石、そして壁のタイルのデザインなんかもモダンですね~。
螺旋階段といえばサンハトヤが有名ですが、また違った良さがあります。
2Fから白くなる
赤い螺旋階段が魅力と思いつつ、さらに下って行くと2Fあたりから白くなりました(笑)。
雰囲気がガラっと変わりました。
階段は地下1Fまでありましたよ。
真下から天井を見上げてみよう!
一番真下から天井を見上げると、ステンドグラスが見えました。
ホテルスタッフからも勧められましたよ。
エレベーター
「階段、だるいって…。」などとお嘆きのワガママなアナタにはエレベーターもありますよ。
枠が大理石でした。
山の上ホテルの地下1階はレストラン街
北京料理やフランス料理、さらに喫茶店もありました。
さらに地下2Fにはワインショップもあるのですが、休業中でした。
山の上ホテルの客室
山の上ホテルの客室は全部で35室。
そのすべて、部屋のデザインが違うということで知られています。
山の上ホテル503 洋室シングルダブルルーム
今回は洋室シングルダブルルームを利用しました。
1~2名での宿泊になります。
ライディングテーブル
ベッドの横のライディング・テーブルです。
薔薇が一輪飾られていました。
ベッドサイドテーブル
これも懐かしいですね~。
テーブルの上のミネラルウォーターは無料で頂けます。
さらにテーブル下には、金型のテッシュケースがありました。
レトロなタンス
ここに荷物や服を収納します。
開けるとちゃんと照明が付きます。
お洒落なルームキー
山の上ホテルのルームキーもいい味出しています。
結構、ズッシリきます。
これで鍵を開けると、独特の感触が味わえます。
現代のカードキーでは味わえない感触です。
ぜひ、この鍵で開閉してみて下さい。
「鍵を開けた!!」って感覚に浸れます(笑)。
山の上ホテルは何気にオートロックです。
ドアを閉めると自動でロックがかかってしまうので、出歩く時は鍵を持っていきましょう。
外出時はフロントに預けます。
バスルーム
わりと広いバスルームです。
バスの水栓が独特で、少し戸惑いました。
左右のツマミで温水と冷水の量を調節して、真ん中のレバーで蛇口とシャワーを切り替えます。
あと、さりげなくバスルームのタイルがカワイイです。
山の上ホテル 充実するアメニティグッズ
インスタントコーヒー
インスタントコーヒーが用意されています。
筆者はサービスのミネラルウォーターを沸かして作ってみました。
便箋セット
文化人ホテルっぽいなぁ~~。
こちらは東京・日本橋で創業200年の榛原(はいばら)さんの便箋セットです。
タイのブランド パンピューリ
浴室、洗顔用のアメニティグッズは充実していました。
タイの高級ブランド、パンピューリです。
この辺、普通のビジネスホテルとは違いますね。
山の上ホテル 文豪が愛した朝食
それでは山の上ホテルの朝食いってみましょう!!
部屋でいただく形式です。
チェックイン時に和食か朝食かを選べます。
スタッフの方が部屋に運んでくれるので、その時にチェックイン時に受け取った朝食券を渡します。
この朝食券もかわいいデザインでしたよ~。
山の上ホテルの朝食・和食
こちらが和食です。
朝から刺身は意外でした(笑)。
山の上ホテルの朝食・洋食
こちらはパン、サラダ、オムレツ、ウインナー…などなどです。
洋食にはドリンクが付きます。
この時はグレープフルーツジュースを注文しました。
あと、何気にパン用のジャムが嬉しかったですね。
まとめ 文豪が愛した山の上ホテルと朝食
以上、東京の丘に佇む、山の上ホテル紹介しました。
2024年2月から全面休館に入ります。
今のうちに行っておきましょう!!
最後までお読みいただきありがとうございました。
ではまた。